弁護士と集客

ところで、弁護士にとって、集客とは何でしょうか。
    
一見客お断り、顧問契約や役員報酬、印税などで成り立っている大物弁護士でなければ、集客は最も重要な課題です。
もちろん、国選や当番を待っていれば良い、保険会社などのお抱え弁護士で満足だ、という方は、本稿を読んではいないでしょう。
    
ビジネスにとって、一番大事なことは顧客がいることです。
どんなに優れた弁護士であっても、クライアントがいなければ意味がありません。
    
集客をテーマにしたセミナーに行くと、必ず士業の方が何人か来られています。
士業に携わる方は、おそらく開業して始めて「集客」という課題に直面します。
セミナーや異業種交流会に士業の方が積極的に参加される気持ちはよく分かります。
    
弁護士のような仕事では、一般に「営業」という行為には、あまり意味がありません。
一般市民にとって、弁護士が必要になるようなことは、ほとんどありません。
逆に弁護士を必要とするような事業者は、すでに複数の弁護士を知っているでしょう。
営業をして回っても、極めて効率が悪いのが士業という仕事です。
そもそも「営業」に来るような弁護士に、誰が自らを委ねるでしょうか。
    
弁護士の集客に重要なことは、ニーズが産まれたときに、数多ある弁護士事務所の中から「見つけてくれる」「選んでくれる」「問い合わせをしてくれる」仕組み*iです。
インターネット時代に、人々が「見つける」「選ぶ」「問い合わせる」手段がホームページであるならば、弁護士がホームページを持つことは、自然なことでしょう。

見つけてもらう

よく、ホームページ制作業者はSEO(Search Engine Optimize)という言葉を使います。何か魔法のようなテクニックでYahoo!やGoogleの検索結果の上位に表示するようなことを彼らは言います。
        
しかし、検索エンジンというものは、本来は有益な情報を掲載しているホームページを選ぶ仕組みです。決して小手先のテクニックを争う場所ではありません。
 「あなたがして欲しいようにGoogleはする」という言葉があるように、検索エンジンはより的確なサイトを見つけることが出来るように、日々進化しています。


SEOという言葉に惑わされて、ホームページが何か特別な難しいもののように思ったり、業者に高い経費を支払ったりするようなことは避けて欲しいものです。
いわゆるSEO対策は、素人でも十分に出来ます。
        
ホームページを見つけてもらう方法は、決して検索エンジンだけではありません。
オンライン・オフライン両面に渡ってさまざまな工夫が出来ます。
大切なことは、何かの縁でホームページを見てくださった方に、あなたの伝えたいことがきちんと伝わることです。

紹介してもらう・思い出してもらう

ホームページの集客は検索エンジン・SEOだけで考えてはいけません。
 「紹介をしてもらいやすい」「思い出してもらいやすい」といったことも考慮してください。
    
誰かがあなたを紹介するとき、あなたがホームページを持っていれば、「ホームページがあるよ」という言葉を使うのではないでしょうか。
もし、ホームページが無ければ、十分な紹介もしていただけずに世間話で終わってしまうかもしれません。
    
また、あなたと面識のある方の場合でも、常に連絡を取っている関係でなければ、おそらく名刺を引っ張り出したり、インターネットであなたを探すのではないでしょうか。
そういうときに、ホームページがあれば、顔写真や文章を見て、おそらくあなたのことをよりリアルに思い出してもらえることでしょう。
    
自分の知っている弁護士、知っている人から紹介してもらった弁護士に最初に相談したいと多くの人は考えます。
紹介してもらいやすい仕組み、思い出してもらいやすい仕組みを作っておくことは大切です。

選んでもらう

あなたが依頼者だとして、弁護士に依頼するときにホームページの有無は気にしますか?
もし、弁護士を二人紹介してもらったとして、一人はホームページが有る、もう一人には無いとしたら、どちらの弁護士に電話するでしょうか。
おそらく多くの人は、ホームページがある人を選ぶでしょう。
        
クライアントがホームページを見るとき、何を求めているのでしょうか。
 「この弁護士を選ぶ自分の選択は間違っていないだろうか?」

究極的には、こういうことでは無いかと私は考えます。 

 

弁護士がこの世に一人しかいなければ、こういう疑問はありません。
しかし、弁護士は依頼者の近くにたくさん居ます。
依頼者はまず自分の選択が間違っていないことを感じ取りたいのです。
        
ホームページがあって情報を確認できる。それだけでも依頼者は安心します。
女性であれば、優しそうな女性らしい印象のホームページを選ぶかもしれません。
起業したばかりの会社であれば、企業での実務経験などに興味を持つかもしれません。
そして、問い合わせをしてみて、電話やメールでの対応の仕方を用心深く見ているはずです。
        
現状では、ホームページがあることだけでも、かなりなアドバンテージです。
一般に「ホームページを見て来た」お客様は、どの業界でも満足度が高いことを申し添えておきます。

問い合わせてもらう

弁護士事務所に電話をするということは、とても勇気の要ることです。
誰かから紹介を受けたとしても、なかなかすんなりと出来るものではありません。
    
弁護士というと、一般人には偉そうで近寄りがたいイメージがあります。
トラブルを抱えている人にとってはなおさらです。
こんなことを話して良いのか、叱られるんじゃないかと言った恐れがあるものです。
そういう人たちにとって、ホームページで弁護士の素顔や事務所の様子を見るだけでも、安心感に繋がり、延いては電話してみようという気持ちに繋がります。
    
電話が出来る時間帯が書いてあると、依頼者は気兼ねなく電話をすることが出来ます。
意外と有効なのは24時間対応(もちろん時間外は留守番電話)です。
    
夜、ホームページを見るというケースは、多々あります。
一晩おいて朝になったら、日常生活に戻ってしまって、電話を掛けるチャンスを逸するということは十分に考えられます。
もちろん、問い合わせフォームを用意してメールで問い合わせてもらうという方法も、とても有効です。
    
依頼者の中には、わざわざ時間外に掛けてくる人も居ます。
こちらから電話をするのは怖い、向こうから掛けてきて欲しいという人は多いものです。
依頼者のそういった心理にきめ細かく応えることが、ホームページをうまく使うことで実現できます。